IHS教育プロジェクト2「共生のプラクシス──市民社会と地域という思想」では、これまでに「食」「農」「地域」をめぐる一連のセミナーと実習を国内外で行ってきました。今年度もこれらのテーマをめぐってさらに思索を深めていきます。その一環として、本年9月に、イタリアのナポリ、ポンペイ、ソンマ・ヴェズヴィアーナ、ローマなどを訪問し、「食・地域・文化遺産」をテーマとした研修を実施します。

ナポリ市は、古代ギリシア・ローマ時代から栄えた都市として豊かな文化遺産を受け継ぎながら、一方では、現代社会に特有な多くの矛盾を抱えた町でもあります。今回の研修においては、ナポリとその近郊の遺跡や歴史的都市を訪ね、さらに地域の大学の大学院で学ぶ学生たちとの交流を通じて、町の背負う歴史的な矛盾について、また、そのような地域における文化遺産の継承について、私たち自身の現実にも鑑みながら考えを深めていきたいと思います。

ソンマ・ヴェズヴィアーナ市では、東京大学の研究施設であるローマ時代の遺跡を訪れ、考古学と地域コミュニティーの関係を考えます。また、ナポリの大学でGraduate Conferenceをおこない、大学院生との交流も計画しています。さらに、ナポリ近郊の遺跡や、遺跡の発掘物が展示されている博物館を見学し、文化遺産の継承と利用についてお話を伺います。この地域の特産品であるモッツァレラチーズの工場見学も計画しています。古代・近代・現代における歴史の断絶と衝突についてナポリで考察した後、ローマへ移動します。ここでは、元は1960年代まで稼働していた火力発電所で、現在は主に古代彫像を所蔵・展示する建物となったモンテマルティーニ博物館を訪れ、文化遺産の継承に関するイタリアのユニークな取り組みについて学びます。

この研修に参加するIHSプログラム生を、3、4名募集します。関心のある方はふるってご応募ください。6月19日（月）には募集説明会を行いますので、応募予定者の方はこちらにご出席ください。

参加要件

1. IHSプログラム生であり、この研修の趣旨を理解して積極的に関与する志を有していること。
2. 見学先の現場の実践を尊重すること。
3. 写真・映像・音声などを記録すること、および、その記録されたものをプログラム広報活動等で使用する可能性があることを了承すること。

参加にあたって

1. 6月19日（月）12時20分より、駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム4にて募集説明会を実施します。本研修に関心のある方は参加してください。都合がつかない方には個別に対応しますので、下記「連絡先」メールアドレスまで必ずお知らせください。 （参考：駒場キャンパス18号館）
2. 参加を希望するプログラム生は、2017年6月25日（日）までに、下記の「連絡先」メールアドレスまで応募の届け出をしてください。参加希望者が募集人数を超過する場合には、選抜を行います。
3. 参加者には、東京大学ならびにIHSの規定に則って旅費を支給します。それ以外の個人にかかる経費については各自で負担することになります。参加する場合は、手続き上必要な書類を期限内に提出することが求められます。
4. この研修は、Aセメスター「多文化共生・統合人間学実験実習II」（林少陽准教授）の一環として行われます。ただし、履修登録を行わない場合にも、IHSプログラム生は参加できます。
5. 参加については、事前に指導教員に十分な説明を行い、了承を得てください。所定の「IHSプログラム学外活動　参加承諾書」に指導教員の署名と承認印を受領し、提出していただくことが出張の要件となります。
6. 参加者は、活動終了後に「活動報告書」の提出を求められます。

連絡先

応募・問い合わせの際には、下記のメールアドレス宛にご連絡ください。
IHS・教育プロジェクト2：project2[at]ihs.c.u-tokyo.ac.jp

関連URL

• 2016年度イタリア研修「食・地域・生命──中部イタリアにおける知の営みと実践」報告
• 2015年度島根研修「食・地域・大学 国内篇」報告
• 2015年度イタリア研修「食・地域・大学」報告
• 2014年度イタリア研修「食・地域・市民社会──スローフードと多様性」報告