国際シンポジウム: グローバル・アジアにおけるアジア美術の想像力

日時
2015年6月27日(土)9:30-18:30
場所
東京大学駒場キャンパス学際交流ホール(アドミニストレーション棟3階)
使用言語
英語
備考
入場無料・事前登録不要(定員100名・先着順)
主催
東京大学大学院博士課程教育リーディングプログラム「多文化共生・統合人間学プログラム(IHS)」教育プロジェクト1「生命のかたち」
協力
森美術館/ニューヨーク大学グローバル・アート・エクスチェンジ/国際交流基金

東京大学・多文化共生・統合人間学プログラムの主催による本シンポジウムは、地理的な意味でのアジア、さらにはそれを越えたところで、「グローバル・アジア(Global Asias)」という観念と、現代のアジア美術の状況を考察するものです。

アジアに起源をもつ商品、考え方、人々のグローバルな転出、転入、変容を意味する「グローバル・アジア」という観念は、さまざまなレベルの交差において生じるトランスナショナルな衝突や交渉へと注意を促しています。それは、アジアの内部における土着の文化間の関係にとどまらず、アジアの外部にある、アジア由来の文化間の関係にも関わっています。「グローバル・アジア」は、たとえば日本とアメリカの関係、日本とブラジルの関係のみならず、日系アメリカ人と日系ブラジル人の関係にも関わるものです。

本シンポジウムは、とりわけアジアの芸術と文化のグローバルな普及と変容との関わりにおいて、現代の芸術実践に焦点を当てています。アジア諸国におけるローカルな美術史は、アジアの美術やその言説のグローバル化によっていかに作り変えられ、同時にそれらを作り変えていくのか。ある国の出身でありながら、今は別のところで生活し制作している作家と、その国の芸術的実践はどのように関係しているのか。さらに、アジア文化をめぐる複数的でトランスナショナルな概念を意味する「グローバル・アジア」という観念が──ローカルで土着の芸術実践に対して何らかの主導的な影響をもたらす──グローバル化のプロセスにおいてどのように現れてくるのか。本シンポジウムではこうしたことを検討できればと考えています。

「グローバル・アジア」という概念との関わりの中で、「グローバル」という枠組み自体も考察されることになるでしょう。おそらくそこには、「国際的」という言葉をふたたび呼び戻すことも含まれますし、「惑星的」という観点から「グローバル」の語に依拠するさまざまな実践を検討することにもなるでしょう。

スケジュール

9:30

開会の辞

  • 内野儀(東京大学大学院教授)
  • トマス・ルーザー(ニューヨーク大学准教授)
10:00 - 12:00

パネル1:東アジアと東南アジアにおける領域横断

  • 現代韓国美術における合成的経験──不安と災厄の時代におけるオルタナティヴな映画的メディウム
    鄭然心(ソウル・弘益大学校准教授)
  • 地域の座標、地方性の緯度
    パトリック・フローレス(フィリピン大学ディリマン校教授)
  • グローバリゼーションへの理解と距離──日本の現代美術はいかにして新たな観客のもとに届けられてきたか
    片岡真実(東京・森美術館チーフキュレーター)
  • グローバル化された東洋とエコロジカルな地球──中国美術が進むべき道はあるのか?
    王春辰(北京・中央美術学院准教授)

ディスカッサント

  • 稲賀繁美(京都・国際日本文化研究センター教授)
  • ミリアム・ワトルズ(カリフォルニア大学サンタバーバラ校准教授)

司会:加治屋健司(京都市立芸術大学准教授)

12:00 - 13:00 昼食
13:00 - 15:00

パネル2:日本をイメージする──論争の場としての現代美術

  • 山城知佳子とクム・ソニの近作における混交性、脆弱性、およびその可能性──「来たるべきアジア、政治、美術を想像すること」
    レベッカ・ジェニスン(京都精華大学教授)
  • グローバルな複数のアジア──日系ブラジル人アーティストの多様性
    岡野道子(サンパウロ連邦大学教授)
  • ウベボダ駅へ──北欧の中島由夫
    嶋田美子(アーティスト)
  • マハトマ・ガンディー、毛沢東、ベトコン士官グエン・ヴァン・レムを処刑するグエン・ゴク・ロアン──森村泰昌におけるアジアのイメージ(1991-2010)
    アイェレット・ゾーハー(テル・アヴィヴ大学キュレーター・講師)

ディスカッサント

  • 蔵屋美香(東京国立近代美術館美術課長)
  • 井戸美里(東京大学特任助教)

司会:中島隆博(東京大学教授)

15:15 - 17:15

パネル3:トランスナショナルなアジアにおける移動性と地域性

  • 芸術の消費と教育をめぐる社会学
    ジョン・クラマー(東京・国連大学客員教授)
  • 縮尺拡大図──南アジアにおける現代美術とグローバリゼーション
    ショナル・クーラー(シアトル・ワシントン大学助教)
  • 波の背後に
    ジョウシン・アーサー・リュウ(インディアナ大学教授)
  • アジアの中心における美術──アイデンティティ・クライシスか、それとも多文化主義的なモダニティか?
    ユリヤ・ソローキナ(キュレーター)

ディスカッサント

  • ワン=リン・ウィー(シンガポール南洋理工大学教授)
  • 今村有策(トーキョーワンダーサイト館長)

司会:内野儀

17:30 - 18:30

全体総括

  • 片岡真実
  • トマス・ルーザー
  • 稲賀繁美
  • 内野儀

司会:中島隆博

関連リンク

森美術館、ニューヨーク大学グローバル・アート・エクスチェンジ、東京大学IHSプログラム共催シンポジウム
日本およびアジア地域におけるグローバル・アートとディアスポラ・アート

※注意

  • プログラム生には、参加後、報告書を提出していただきます。
  • 写真・映像・音声等を記録することとその記録されたものをプログラム活動で使用する可能性があることをご了承いただいた上でご参加ください。